七不思議で有名で観光スポットになっており、近くの学校の遠足などでも利用されている。↓
根無しの藤、馬首の井戸、東山一口拍子木、開かずの雪隠、油坂、不断のかまど、枕返しの間の七つの不思議がある。
大中寺の七不思議
根無しの藤
「雨月物語」の「青頭巾」の話で、僧と一緒に住んでいた少年が死んでしまい、その死を悲しみついにはその少年を食い尽くしてしまったという。
それ以降、僧はまるで鬼のように墓を掘り起こしては死体を食いあさり、人を見るととって食おうとしたりするようになった。
そして、この鬼僧を諭し、正気に戻すために快庵が訪れた。快庵は山中の石の上に鬼僧を座らせ、自分の青頭巾をかぶせ「江月照らし松風吹く。永夜清宵、何の所為ぞ。」という句の意味を考えるよう去っていったという。
それから1年後。
戻った快庵は山の中で誰かが唱えるその句が聞こえてくる。それは1年前の鬼僧だった。快庵が鬼僧に喝を入れてその頭を打つと後には青頭巾と白骨だけが残っていたのだという。
時快庵は,手に持った杖をその脇に立て「この杖芽が出て大きく茂るようならこの寺はきっと栄えるだろう。」と言い残し、この杖が芽を出し大きく育ったのが「根なし藤」といわれている。
馬首の井戸
戦国時代大平の時代。佐竹小太郎という将軍が、当時の大中寺の彼のおじにあたる住職に助けを求めて逃げ込んできた。住職は、そんな将軍をかくまうことを拒否した。
将軍は住職を恨みながら、自分の愛馬の首を切り、その死体を傍らの井戸に隠し、みずからも自害した。
その後、霧のたちこめた時など、その井戸に馬の首が浮かび上がるので「馬首の井戸」と呼ばれるようになった。
東山一口拍子木
佐竹小次郎の最後の言葉は「わが魂はここに残って,この寺を何度でも焼き払ってやる。」だった。寺の裏山で拍子木の音が二つ鳴ると大中寺は火事になるといわれている。
戦国時代、以降何度も火事になっているこの寺では、今ではわざと本堂に本尊を祭らずに寺が完成していない印としているのだという。
開かずの雪隠
佐竹小次郎の奥方が、自分の夫が大中寺に逃げ込んだことを噂で聞き、敵の目を掻い潜り住職を尋ねた。聞かされたのは、夫の哀れな最期。
嘆き悲しみ、傍らの雪隠に入った。いつまでたっても出てこないのを不思議に思い中をのぞくと、奥方は最後の化粧をして息絶えていた。
その後この雪隠は釘で戸が打ちつけられ開けられなったのだという。
油坂
昔大中寺には多くの学問僧が居たが、多くの仕事があり勉強できる時間も少なかった。そんな中でとても勉強熱心な僧がおり、こっそり油を盗み夜書物を読んでいた。
ある日、油をもって本堂へ戻ろうとした時、石段に油をこぼしてしまい、これに滑り石段から落ち死んでしまった。
その後、この石段を登ろうとした人たちは落ちて大けがをするようになったと言われている。
わらじの鼻先をかかとのほうへまわして履き、仏様にお祈りしながら上がると良いともいわれている。
不断のかまど
あまりに修行が辛くて、どこかサボる場所はないかと探していた学問僧の目に留まったのは、大きな釜。そして、その中に潜り込んだままついつの間にか寝てしまった。
次の朝、当番のものが中に僧が寝ているとは知らずにその釜に火を入れてしまう。気が付いた時には中の僧は瀕死の状態で、その後まもなく死亡した。
その後、このかまどの火を絶やさない習わしになったとのだという。
枕返しの間
この部屋で寝ると、翌朝に枕が逆になっているという。
栃木県栃木市大平町西山田252−1