そこは戦前まで水葬が行われており、池に近づくと引き込まれるという噂がある。
また、「蛇伝説」も語られている。
蛇伝説
昔、因幡国法美郡宮ノ下に長者があり、大勢の使用人が働いていた。ある時長者は、福部の細川というところからお種という名の美しい少女を雇い入れた。
使用人たちは一日の仕事が終わり、集まって話をしているうち、「腹が減った」「なんぞ食うもんはないかいや」と言い出した。
すると、お種がどこからかとても甘い柿をもいできて、使用人に振る舞った。それからも時々、お種は客人や使用人に柿を振る舞うことがあった。
お種がどこから柿をもいでくるのか不思議に思った使用人たちは、ある夜お種をつけてみることにした。お種は屋敷から4里ほど離れた多鯰ヶ池の畔に着くと、着物を脱ぎ捨て、白蛇に姿を変えた。
白蛇に姿を変えたお種は池の中程にある島へと渡っていった。その島にはたわわに実った柿の大樹があり、その島にある柿をもいできていたのである。驚いた使用人たちは屋敷に戻って一部始終を話した。
しかし、それ以後、正体を見られたお種が長者の屋敷に現れることはなく、それとともに長者の権勢も次第に衰えていったということである。
鳥取県鳥取市浜坂1390−151