「赤目四十八滝」は心霊写真が撮れるという噂が有り、特に「布曳滝(ぬのびきだき)」で飛び込み自殺がある場所でオーブや発光体などの心霊写真が写ると言われているそうだ。
その昔に紅姫が布を曳いて滝ができたので「布曳滝」と言うなったと言われている。
布曳滝
昔、三重県名張(なばり)に豪族が住んでいました。その豪族の娘、紅姫(べにひめ)が、赤目山にばあやと一緒に紅葉狩に出かけたときのことです。
紅姫はあまりの紅葉の美しさに「母上は紅葉がことのほかお好きだから、ひと枝持って帰って見せて差し上げよう」と紅葉の枝を折りました。すると、瞬く間にあたりの様子が一変し、強い風が吹いて霧が立ち込めました。
風がやんで紅姫が顔をあげると、ばあやが居ないばかりかどういうわけか全く知らない場所に来ていました。霧が晴れ自分が居る場所を見てみると、なんとそこは断崖絶壁の上でした。
あまりの事に紅姫がうちひしがれていると「いかなる理由があろうと山を傷つけてはならない。罰として紅葉の繊維を糸として百尺の布を織り上げ、絶壁を下りて帰るように」と神様の声がして、機織り機が現れました。
それから紅姫は紅葉の木から繊維をとると、必死に機を織り始めました。しかし、慣れぬ機織りは進まず、季節は秋から冬に、そして春になっていきました。苦労の末に、紅姫は百尺の布を織り上げ、それを伝って断崖の下にたどり着くことができました。
するとそこには、ずっと紅姫を探し続けていたばあやが立っていたのです。「よくぞご無事で」と駆け寄るばあやと一緒に、今まで苦労して織り上げた百尺の布を見上げると、なんと紅姫が織った布は瞬く間に滝に変わったではありませんか。
驚く紅姫の耳に、「お前の布を織りあげた時のこの魂が消えぬ限り、この滝は永遠に流れるだろう」と神様の声が聞こえました。紅姫が布を曳いて滝ができたので「布曳滝」と言い、今でもこの滝は途切れることなく流れ続けているということです。
放送日:1989年(平成元年)1月28日(土曜)
参考:まんが日本昔ばなし〜データベース〜 – 布曳滝
布曳滝の基本情報
「赤目四十八滝」の一つで高さ30mから一条の布をかけたように落ちる滝は、赤目五瀑のひとつにふさわしい美しさ。滝壺の深さは約30mもあり、固い岩をえぐった水の力には感心させらる。
赤目四十八滝
- 赤目五瀑 不動滝(ふどうだき)
- 赤目五瀑 千手滝(せんじゅだき)
- 赤目五瀑 布曳滝(ぬのびきだき)
- 赤目五瀑 荷担滝(にないだき)
- 赤目五瀑 琵琶滝(びわだき)
- 行者滝(ぎょうじゃだき)
- 銚子滝(ちょうしだき)
- 霊蛇滝(れいじゃだき)
- 不動滝(ふどうだき)
- 乙女滝(おとめだき)
- 大日滝(だいにちだき)
- 八畳岩(はちじょういわ)
- 千手滝(せんじゅだき)
- 布曳滝(ぬのびきだき)
- 竜ヶ壺(りゅうがつぼ)
- 斧が渕(おのがぶち)
- 縋藤滝(すがりふじだき)
- 陰陽滝(いんようだき)
- 百畳岩(ひゃくじょういわ)
- 七色岩(なないろいわ)
- 姉妹滝(しまいだき)
- 柿窪滝(かきくぼだき)
- 横渕(よこぶち)
- 笄滝(こうがいだき)
- 雨降滝(あめふりだき)
- 骸骨滝(がいこつだき)
- 斜滝(ななめだき)
- 荷担滝(にないだき)
- 夫婦滝(めおとだき)
- 雛段滝(ひなだんだき)
- 琴滝(ことだき)
- 琵琶滝(びわだき)
- 岩窟滝(がんくつだき)
三重県名張市赤目町