播州姫路が舞台の『播州皿屋敷』、江戸番町が舞台の『番町皿屋敷』が広く知られる。
皿屋敷は、夜な夜なお菊の亡霊が井戸に現れ「一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、六枚、七枚、八枚、九枚・・・・・」と皿を数える情景が周知となっている怪談話。
播州皿屋敷
時代は室町将軍足利義政の頃、この義政が細川家に伝わる10枚の唐絵の皿を所望したが、細川家ではこの皿を紛失しており、渡そうにも渡せないでいた。
細川政元は家宝という理由で皿の譲渡を拒んだが、それが将軍の勘に触れ、政元は細川家当主の座を追われ、浪人のようになっていた。
皿がすでに紛失している事を知った山名宗全が、細川家の播州姫路城を手に入れる好機とばかりに、細川とぐるになって将軍に因縁を付けた。
政元はどうしても皿を探さねばならなくなり、この皿の捜索に主君と共に乗り出したのが細川家の若き家老・船瀬三平とその妻お菊である。
こうして皿探しが始まったが、皿を盗み出したのはなんとお菊の父だという事実が判明した。
しかし、皿はもうすでに父の手元にはなく、お菊の弟が売り払っていた。
この事態に血のつながった父と弟を斬らねばならなくなったお菊は、苦悩の末に二人を殺害した。
無くなった皿を取り戻すために、女郎屋に身を売るなど身を削る思いで、やっとの事で皿を買い戻した。
ところが、身を寄せていた細川家の青山鉄山が山名宗全と手を組んでり、家を乗っ取る陰謀を巡らすと、お菊のあずかる10枚の皿から1枚を抜き取り、この失われた1枚のためにお菊を追求した。
お菊はそんなはずはないと何度も皿を数え直した。一枚、二枚…しかし何度数えても皿は9枚しかない。鉄山はしめたとばかりにお菊を殺害して井戸に投げ捨てた。
しかし、この直後から菊の幽霊が出没するようになった。
「鉄山どの、その皿をもう一度、読ませてくださんせ・・・」と言い、家宝の皿を数え始めた。
「一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、六枚、七枚、八枚、九枚・・・・・」
数えるたびに皿はぐらぐらと揺れた。
お菊の幽霊はは9枚目を数え終わると。
「あな、悲しや」
とつぶやき、その度に障子が揺れた。
お菊の霊の姿は鉄山にしか見えなかったが、声だけは誰にも聞こえるという不思議なものだった。このため、鉄山の罪は露見してしまったのだった。
その後、鉄山はその屋敷から逃げ出し、色々な土地を逃亡したが、どこに住んでもお菊の亡霊が現れ皿を数えた。
このため、鉄山はついに播州の屋敷に戻って自害した。
お菊井戸
番町皿屋敷
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