女性の幽霊が出ると言われており、静かな夜に淵周辺で女性の泣き声やすすり泣く音が聞こえるという噂や、淵を覗き込むと水面に白い着物を着た女性の姿が映しだされた、昼間に祠の前で撮った写真に背後に長い髪の女性の幽霊が写っていたという。
その他にも淵を覗き込んだ瞬間に背後で足音が聞こえて来る、誰もいないはずの場所で草を踏みしめる音が近づいてくる、 風もないのに水面が不自然に揺れ、波紋が広がる(水中から手を伸ばされたような感じ)。
足場の悪い断崖近くで、突然背中を押されたような感覚に襲われるというもの。転落の危険がある場所でもあるため、注意を促す看板があるとのこと。
「君が淵」の名前の由来になった「お君(おきみ)」が身投げした場所として知られていますが、この女性の幽霊がお君なのかは分かっていません。
2006年5月のインターネット掲示板の書き込みにも、「足ひっぱられるとか?」「女の人の幽霊がでる」という噂が記録されています。投稿者は「結構昔から言われてるみたい」と述べていますが、それ以前の具体的な記録は確認できていません。
君が淵の基本情報
高知県四万十市の君が淵は、四万十川沿いの景勝地・伝承の場所で、「四万十の水辺八十八ヶ所めぐり」のひとつ(44番)に選定されています。
道路から四万十川を眺められる場所で、四万十川沿いの景観スポットの一つになっています。四万十市観光協会のサイクリングコースにも「君が淵」が組み込まれています。
また、鮎釣りのポイントとして利用されていることが有り、釣り人の間では「君が淵周辺は大きな岩が点在する川筋で、大鮎が潜む場所」として知られています。
君が淵
1185年(平家方 :寿永4年/源氏方 : 元暦2年)の壇ノ浦の戦いで敗れた平家の落人たちが、追手から逃れるため野稲尻の奥に身を隠したと伝えられています。その一行にいた若武者が平幸太郎でした。
壇ノ浦の戦いに敗れた平家の落人一行が野稲尻の奥地に潜伏した際、その一人である若武者の平幸太郎が里へ下り、地元の美しい娘「お君(おきみ)」と恋に落ちました。
しかし、厳しい身分違いや周囲の反対により添い遂げることができず、前途を悲観した二人は暗夜に断崖へ立ちました。
約束の日に両親にお君の動きが知られてしまい計画は失敗します。噂が広まり里での立場を失ったこと、護衛していた姥御前が没したこと、さらに源氏方の追討の噂に怯えたことなどが重なり、幸太郎はお君を想いつつも連れ出す勇気を持てず、里から姿を消してしまいました。
幸太郎の失踪を知ったお君は生きる希望を失い、18歳で断崖から身を投げて命を絶ちました。お君が身を投げたこの渕は「君が淵」と呼ばれるようになり、森の頂にはお君の霊を慰めるための祠が建てられました。
現地に設置された案内板等では概略として、「前途を儚んだ二人が暗夜に断崖に立ち、幸太郎が投げた石の水音を聞いてお君が先に投身した」という、二人が共に崖に立った瞬間を強調した筋書きで紹介されることもあります。
君が渕(説明看板)
壇の浦の戦いに敗れ、源氏の追討を逃れた平家の落人の一行が、野稲尻の 奥に落ち着いた。
その中の一若武者が、江川の里に降りて百姓となって暮らすうち、地の美貌の娘お君と深い仲となったが階級の厳しい時代のため結ばれるすべもなく、前途をはかなんだ二人は、暗夜この断崖に立った。
お君は若武者の投じた石の水音を聞き遅れてならじと投身し可憐な恋の花は一瞬に散った。
其の後お君の怨念に悩まされる里人は、小祠を建て亡霊を慰めた。君が渕の絶景と悲恋物語りを生んだこの地は、四季折々里人の行楽の場となっている。
西土佐村教育委員会 西土佐村文化財保護審議会
高知県四万十市西土佐江川
参考
