昔、この地で貧困や飢えに苦しんだ親子が、生きたまま埋められたという言い伝えがあります。その親子の無念が霊となり、峠付近で子供を抱いた女性の霊や泣きながら歩く子供の霊が目撃されると言われています。
夜間に車で通行していると、バックミラーに知らない女性が映り込んだり、あるいは誰もいないはずの場所から視線を感じ、目をやると真っ暗な暗闇の方から見つめ返しているような視線を感じるといった事もあるようです。
周辺では車のエンジンが急に止まる、カーナビが狂うといった機械類のトラブルも噂されています。
二ツ塚物語
今から数百年もの昔、この峠のふもとに貧しいながらも仲睦まじく暮らす母親と幼い娘がいました。
ある時、母親が不治の病にかかってしまい、自分の死期を悟った母親は生きたままこの峠に埋めてほしいと村人に懇願しました。
それを聞いた幼い娘は、泣きながら「お母さんが行くなら、私も一緒に行く」と聞き入れませんでした。母を一人で行かせたくないという娘の強い想いに、村人たちは心を打たれ、生きたまま一緒に埋められました。
それ以来この地を「二ツ塚」と呼ばれるようになり、薄幸(不幸せな)の親子をしのんで心ある村人が、掃除や土盛りをし、今も供養しているのです。
この物語は単なる噂ではなく地元の民話として大切に語り継がれており、峠の頂上付近には今もその親子を祀る2つの小さな塚と石碑、そして物語を記した看板が設置されています。
東京都西多摩郡日の出町大久野
