昔、大雨が続いて山の地盤がゆるみ大きな土砂崩れが起きて組中の数軒の家を潰してしまいました。その時に転落してきた大きな岩の下敷きになって御子守さんの娘が背負った赤ん坊とともに死んだ。
一説によるとその娘はオミヨという十二才の少女であったっという。それ以来、村の赤ん坊がひどい夜泣きをしたり、何かにおびえるようになって娘の霊が祟っているとうわさされた。落ちてきた大岩からも夜になるとすすり泣きの声が聞こえてきたという。
そこを訪れた旅の僧が、娘の慰霊のために石を彫って地蔵の首を作り巨岩の上に乗せて供養をしたとこと赤子の夜泣きもすっかりおさまった。
それ以来、村人たちは首地蔵に香華をささげて供養を怠ることがなかったという。
ある時、道路が拡張されることとなって首地蔵の巨岩が邪魔になり、岩を割って撤去することとなった。
石屋が岩に穴を開けたところその石屋は家に帰った後高熱を出して苦しんだ。娘の霊が祟っているということになり、工事は中止されて、今でも地蔵は道路端に残され岩が道路に少しはみ出たままになっている。
またこの岩はもとは道路の反対側にあり道路の舗装工事の際に現位置に動かしたところ
事故が起きて工事人夫が大怪我をしたとも伝えられている。
平成二十四年 三月
山梨県山梨市水口