昔、下関に菊屋という海産物問屋がありました。この海産物問屋の夫婦はたいへん仲が悪かったので、心優しい一人娘のお菊は心を痛めていました。
そこでお菊は、夫婦仲が良くなるようにと毎日お寺に願掛けに通いましたが、その思いをよそに夫婦仲は一向に良くなりませんでした。いつしか菊の気苦労は体にまで及び、結核の病になってしまい遂には息を引き取ってしまった。
その夜、お寺の住職の枕元にお菊の幽霊が現れ、和尚さんに「どうか和尚さまによって、父母が円満にに世を送れますように」と告げて消えていったと言う。
和尚さんは、お菊の話を聞きながらその姿を紙に書き写すと、丁度そこへお菊の両親がやってきました。和尚さんは今しがた現れていたお菊の幽霊の事を話し、不仲の両親を戒めました。
それ以降、お菊の両親は生まれ変わったように仲が良くなり、父も商売に精を出すようになりました。
そして毎年7月17日、お寺ではご本尊様の御開帳の時、お菊の幽霊の絵を出して夫婦仲の大切さを説きました。この御開帳の事を「幽霊祭」と言い、後々まで伝わっています。
幽霊祭でのご開帳は毎年7月17日18時~21時
山口県下関市観音崎町8−2