乙女ヶ池(昔の「勝野の鬼江」周辺)では、古代の戦乱(特に藤原仲麻呂/恵美押勝の乱、764年)で多くの戦死者や処刑された人々が出たため、池に死体がたくさん浮かんでいたという言い伝えがあります。
戦国時代に大溝城の外堀だった時代にも戦いがあった事から、池のほとりに鎧兜を着た武士の霊が現れるという噂が有り、夜間にぼんやりとした姿が見え、目が合うと消えると言われています。
水面から無数の白い手が伸びてくる、どこからかうめき声や囁く声が聞こえてくる、池の中の方から呼ぶ声が聞こえる、足音や甲冑の擦れる音が聞こえる、と噂されています。
霧が立ち込める深夜、池の中央あたりに白い着物を着た女性の影がぼんやり浮かび上がる。その姿が徐々に近づいてくるように見えるが、次の瞬間には霧とともに消えてしまう。 水辺に近づくと異様な寒気がする人も居るようです。
という噂が有りますが、池の名前「乙女ヶ池」から連想される一般的なイメージ(乙女=若い女性)が影響している可能性が有ります。
歴史好きには面白い場所で、万葉歌碑もあります。心霊より歴史ロマンや釣り・散策目的で訪れる人が多いようです。
乙女ヶ池の基本情報
琵琶湖の西岸に位置する周囲約1.4km、面積約8.6haの内湖です。のどかな水辺の景観が広がる穏やかな場所ですが、古代から戦国時代にかけて数々の歴史的事件や悲劇の舞台となってきた、非常に深い背景を持つスポットでもあります。
現在は県の園地公園として整備されており、池の中央に架けられた木製の太鼓橋が情緒ある風景を作り出しています。この美しい水辺の景観は、2013年のNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』のロケ地としても使用されました。
フナやコイ、ブラックバスなどの淡水魚が豊富で、釣り人に人気のスポットとなっています。周辺の乙女ヶ池、乙女ヶ池沿いにある打下集落の水面利用の伝統的集落景観などを含む、約1384.1ヘクタールを「大溝の水辺景観」として国の重要文化的景観に選定されています。
戦国時代に入ると、織田信長の命によって甥の織田信澄が築いた大溝城(別名:高島城、鴻溝城、鴻湖城)の天然の外堀として利用されました。水城としての機能を果たす重要な拠点であり、現在も城跡のすぐ裏手に位置しています。
万葉の時代には「香取の海(かとりのうみ)」と呼ばれ、多くの歌人がその美しさを和歌に残しました。一方で、奈良時代の764年10月17日に朝廷への謀反に失敗して敗走した藤原仲麻呂(恵美押勝)が捕らえられ、この地「勝野の鬼江(今の乙女ヶ池)」で一族とともに処刑されたという、歴史的な戦乱と悲劇の終焉の地でもあります
「乙女ヶ池」名前の由来
古代には「勝野の鬼江」と書かれてあったり、万葉集には「香取の海」と言われ、1965年(昭和40年)頃の地図には「洞海(どうかい)」と書かれていました。他にも琵琶湖を「表の湖」に対して「ウラウミ、セドウミ(セド=背戸)」とも言われていました。
昭和30年代(1955年~1965年)に淡水真珠の養殖場として利用が始まった際、よりイメージの良い名前にしようという意図から現在の「乙女ヶ池」に改名されました。
