西野水道

江戸時代に掘り貫かれた放水路内の真っ暗闇と閉塞感のあるトンネルを歩いていくと頭痛がしてくるめまいのようにクラクラする、誰もいないのに後ろから足音が近づいてくる、などと言われ、亡くなった人の霊が出ると言われています。

ここに出る霊はトンネル工事で亡くなった作業員とかではなく、トンネルが出来る前の江戸時代に繰り返された洪水で亡くなった人々の霊が旧水道内で出ると言われています。地元では心霊の噂から幽霊の通り道「霊道」と呼ばれる声もあるようです。

実際にトンネル工事では落盤事故も起きていますが、死亡事故は起きていないようです。もちろん、5年以上に及ぶ手掘り工事で軽傷や病気などが全くなかったとは断言できません。

しかし、重大な死亡事故があれば、功績を伝える資料や郷土史に何らかの形で記される可能性が高いにもかかわらず、そのような記録は確認されていませんでした。

西野集落は余呉川の氾濫で繰り返し壊滅的な被害を受け、特に1783年・1786年・1807年の大洪水で多くの死者・飢饉が出ました。

水害で亡くなった人々の霊が今も彷徨っている、という伝承が基盤になっています。水のある場所は霊が集まりやすいという民間信仰も影響しています。

西野水道の基本情報

滋賀県長浜市高月町西野にある余呉川の放水路(排水トンネル)です。 江戸時代に地元住民の力で手掘りされた歴史的な土木遺産で、「近江の青の洞門」とも呼ばれ、1984年に滋賀県指定史跡になっています。

近年までは、「西野隧道」と書籍等に記載されることも有り、地元では「西野隧道」とも呼ばれているそうです。

西野地区は、三方を岩山に囲まれ、一方を余呉川に面した低地で、大雨のたびに余呉川が氾濫し、集落が冠水して大きな被害を受けていました。

充満寺第11世住職の西野恵荘(えしょう)上人(1778-1849年)が洪水対策として、山を貫いて余呉川の水を直接琵琶湖へ流す放水路を計画。

当時、石工たちは固い岩盤を効率よく削るため、「岩を火で焼き、熱くなったところに水をかけて脆くしてからノミで叩き割る」という命がけの方法をとっていました。

そのため、奥に進むにつれて熱や衝撃で岩盤が緩み、小さな落盤がしきりに起きていたと言われています。当時の人々も落盤の危険を強く恐れていました。

工事の無事を祈るため、1844年(弘化元年)には水道の西側(琵琶湖側)の出口に、山の神を祀る「山神宮」を勧請(かんじょう)して神頼みを行っていました。藩の支援と人々の祈りが合わさり、犠牲者を出すことなく難局を乗り切ったと伝えられています。

1845年(弘化2年)5月、工事が始まって5年が経ち、いよいよ貫通が目前に迫った時にンネルの内部が激しく崩れる大規模な崩落事故が起きました。

この影響で作業が中断・困難になり、彦根藩主から人夫1,300人と枠木(支保工)の援助を受けました。これにより6月3日に貫通(30cmの穴が通る)に至りました。

このとき、水害に苦しみ続けた村人たちは躍り上がって喜び、3日間にわたって仕事を休み、酒盛りや芝居をして大祝いをしました。この前代未聞の偉業を聞きつけた近隣の村々から、一目見ようと見物人が現場に殺到。

そのあまりの大混雑と大騒ぎのせいで、かえって「けが人」が出てしまったという、当時の凄まじい熱狂を物語るユニークな記録が残されています。

着工:1840年(天保11年)7月29日
完成:1845年(弘化2年)9月1日に全長約220mのトンネルが完成
工期:約6年間
延長:約250m
高さ:約1.5~2m
幅:約1.2~1.5m
延べ石工人数:約5,289人(能登・伊勢の専門石工を中心に)
村方人足:約3,500人。
総工費:1,275両(現在の価値では数億円規模ともいわれます。)

現在の排水機能は1950年(昭和25年)に造られた第2水道、さらに1980年(昭和55年)完成の大型放水路へ引き継がれています。

現地に併設されている「西野水道案内所」では、見学者向けにヘルメット、懐中電灯、長靴の3点セットが常備されており、誰でも無料で借りることができます。しっかりと身支度を整えてから安全に散策することが可能です。

釣りスポット

西野放水路を抜けた先は琵琶湖北東部の人気釣りスポットとして知られています。駐車場から放水路の先の琵琶湖側へ向かうには、山をくり抜いた薄暗いトンネルを約250〜300mほど歩いて抜ける必要があり、ちょっとした「秘境感」を味わえるのが特徴です。

  • ブラックバス
    放水口から琵琶湖へ流れ出るフレッシュな水、そして沖に広がる砂地(サンドバー)やウィード(水草)の切れ目が絶好のポイントです。湖北らしいクオリティの高い「体高のある極太バス(ロクマルクラスの報告も)」が狙える場所として、多くのアングラーが訪れます。
  • 小アユ
    春から夏(5月〜7月頃)にかけて、放水口付近に小アユの群れが寄ってきます。のべ竿を使ったウキ釣りやラセン仕掛けで、タイミングが合えば数釣りが楽しめます。
  • 野鯉(コイ)
    トンネルを抜けた先のエリアには非常に美しい魚体をした「黄金の野鯉」が潜んでおり、大物狙いの鯉釣り師にも愛されているポイントです。

トンネルを抜けると車の様子が一切見えなくなります。そのため、駐車場や移動中を狙った高級タックル(ロッドやリール、ボックス)の盗難事件が多発しています。

釣り場へ向かう際は、持って行くタックルを必要最低限に絞り、車内にも貴重品や高価な道具を放置しないよう徹底してください。

滋賀県長浜市高月町西野

参考資料

地域 : 近畿 | 滋賀県
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著者: 管理人

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