その昔、殺された娘の幽霊が夜な夜なすすり泣く声が聞こえてきたと言われ、然石に地蔵尊を彫り娘の霊を手厚く供養したところ声は聞こえなくなったという。
それ以外にも、小石を持ち帰ると恋が成就すると言う縁結びのご利益も有ると言われている。
地蔵鼻の由来
昔、美可崎の城主、金山亦兵衛康時は、琴の修行のため船で都へ向かう周防の高橋蔵人の娘を関所破りの罪でとらえましたが、娘の美しさと娘のひく絶妙な琴の調べにすっかり心を奪われ、島にとどまり自分につかえるよう命じたところ娘には、周防に思いを寄せる若者がいたため応じませんでした。
すると康時は腹を立て娘を浜で切り捨ててしまいました。それから間もなく夜になると、娘のすすり泣く声とともに琴の音が聞こえはしめ、康時は夜ごと悩まされ続けました。
そこで渚の自然石に地蔵尊を彫り娘の霊を手厚く供養したところ亡霊に悩まされなくなったということです。
その後、その話を聞いた周防の若者が地蔵鼻で娘の後を追い海に身を沈めました。すると地蔵の目からはポロポロと涙がこぼれ落ちそれは、みるみる内に小石になって辺りに散らばったということです。
この鼻の地蔵さんに祈願し、娘の思いが込められた小石を持ち帰ると、恋が成就すると言われて、縁結びの願いを込めて多くの若い女性が訪れています。
その他、子授け、安産、女性の願いことがかなえられるといわわれております。祈願がかなうと石地蔵を作ってお札参りをする習慣があります。
無月旧暦のニ十四日は命日とされており、地元の人々はもちろん、近隣の島々や遠く県外からの参拝者で、賑わいます。
広島県尾道市因島三庄町