乙女峠マリア聖堂

一部で心霊スポットと言われ、視界の片隅や奥の方で白い影が現れスッと消えると言われ、聖母マリアではないか、殉教者の霊ではないかと囁かれています。

背後に誰かが立っているような感覚に襲われたり、耳元で呻き声やため息が聴こえる、誰も居ない建物内から誰かが居るような物音や気配がしたり、十字架が有るところでは誰かが十字架を回るような足音が聞こえて来るそうです。

さらに、ここで写真を撮ると霊魂とされるオーブ(光の玉)が多数写り込んだり、白いモヤが写ることが有ると言われ、もし撮れてしまうと体調不良になると言われています。

霊感がある人が訪れると、強い悲しみや重苦しい空気を感じると言われます。これは、真冬の氷が張った池に裸で投げ込まれる「氷責め」や、身動きが取れない狭い「三尺牢」への監禁など、37名が命を落とした過酷な拷問が実際にこの場所で行われていたという事実が背景にあります。

これらの話から殉教者たちの「怨念」や「成仏できていない苦しみ」が残っているのではないか、という考察とともに語られることがあるようです。

また、殉教者の一人・安太郎の前に聖母マリアが現れて励ましたという伝承も残っています。この伝承は「奇跡の地」として語られる一方、悲劇的な歴史と結びついて「霊が現れる場所」という都市伝説が生まれる要因になったと考えられています。

心霊的な噂が絶えない場所ではありますが、本質的には過酷な状況下で信仰を貫いた殉教者たちを追悼する「神聖な慰霊の地」です。遊び半分の肝試しなどで騒ぐことは控え、静かに歴史へ思いを馳せることが求められる場所となっています。

乙女峠マリア聖堂の基本情報

聖堂が所在する山は正式名称を、枕流軒(ちんりゅうけん)と言い、地元では津和野城の城主の娘が埋葬されたことから「乙女山」と呼ばれています。

江戸時代末期から明治初期にかけて、キリスト教が禁じられていた日本で「浦上四番崩れ」と呼ばれる隠れキリシタン弾圧事件が起きました。長崎の浦上村の信徒たちが発見され、明治新政府によって全国各地に流罪となりました。

そのうち約153名(最初の28名とその後の家族など)が1868年(明治元年)以降、津和野に送られました。彼らは長崎から船で安芸国廿日市へ運ばれ、そこから津和野街道を約90km徒歩で移動し、当時あった光琳寺に幽閉されました。

津和野藩は当初改宗を説諭しましたが、信徒たちは信仰を捨てず、方針を変えて厳しい拷問を加えました。その結果、1870年(明治3年)までに37名(子どもを含む)が殉教しました。

拷問の例として、氷の張った池に裸で投げ込まれる「氷責め」や、縦横奥行き約99cmの立方体の木製牢「三尺牢」に裸で閉じ込められるものなどがありました。

特に安太郎という信徒が三尺牢の中で毎晩、聖母マリアのような青い衣の婦人が現れ慰めてくれたと語り、棄教しなかった話が有名で、カトリック広島司教区はこの「聖母の出現」を認可しています(カトリック教会の総本山であるバチカンとしては未承認)。

1873年(明治6年)の禁教解除により生き残った信徒は釈放され浦上へ戻りましたが、光琳寺は廃寺となり畑地化していました。

1939年(昭和14年)に広島司教区が跡地を購入し、1951年(昭和26年)にドイツ人神父パウロ・ネーベル(後に帰化して岡崎祐次郎神父)によって「聖母マリアと36人の殉教者に捧げる」聖堂として建立されました。

当初は「乙女峠記念堂」と呼ばれ、のちに「マリア聖堂」と通称されるようになりました。名称「乙女峠」は、永井隆の絶筆『乙女峠』(同年刊行)の影響も大きいです。  なお、殉教者37人の列福(福者認定)に向けた調査が2019年に開始されています。

毎年5月3日には殉教者を偲ぶ「乙女峠まつり」が開催され、ミサが行われ、県内外から多くの人が訪れます。

受話器が2つある公衆電話「デュエットフォン」

敷地内には受話器が2つある電話ボックスもあり、「男女で一緒に受話器を取ると結ばれる」という恋愛成就のウワサがあり、地元の観光協会もPRする隠れた名所になっています。

1990年(平成2年)、日本の電話事業100周年を記念してNTTが遊び心で製作したもので、当時から数量限定でした。

構造上故障しやすく、公衆電話自体の撤去も進んだことから、現在は日本全国を探しても片手で数えられるほど(島根県津和野町、神奈川県川崎市、香川県観音寺市など)しか残っていない貴重な存在です。

もし津和野へ行かれる機会があれば、マリア聖堂の悲しい歴史に触れるとともに、この珍しいレトロな公衆電話もぜひ体験してみてください。

島根県鹿足郡津和野町後田乙女峠

参考

地域 : 中国地方 | 島根県
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著者: 管理人

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