薄暗い中でぼんやりとした人影や白い影が横切る、暗い穴の中に老人が座っているように見える、誰もいないはずなのに暗い穴の中から常に誰かに見られているような視線を感じる。
横穴に近づくと誰かが囁き合っているような話し声が聞こえてくる、洞穴の奥から赤ん坊が泣くような声が聞こえる、奥から名前のようなものを呼ぶ声が聞こえるなど様々あるようです。
1990年代後半〜2000年代のインターネット普及期に、2ちゃんねるなどのオカルト板で取り上げられ、全国的な心霊スポットとしてのイメージが定着したとされています。
2024年(令和6年)ごろからYouTube上で「心霊スポット」「十五郎穴」といったタイトルで紹介する動画が有るようです。
心霊スポットとして「近づくだけで危険」と煽られる一方で、地元の人々にとっては身近な場所でもあり、ネット上の心霊掲示板などには、「昔は近くの保育園の散歩コースになっていて、穴の中に入っておままごとをして遊んでいた」「心霊スポットだと聞いてびっくりした」という地元住民の書き込みも散見されます。当時は遊び場になるほど生活に密着した場所だったようです。
十五郎穴横穴群の基本情報
7世紀前葉から9世紀前葉にかけて、台地の崖面に横穴(遺体を安置する部屋)を掘って造られた横穴墓群で、複数の横穴墓に遺体を葬っていました。発掘調査では、須恵器・玉類・武器類などの副葬品だけでなく、人骨も出土しています。
一部の穴は江戸時代からすでに開口しており、水戸藩の学者によっても紹介されていた歴史ある場所です。
名称の由来は、鎌倉時代の曽我兄弟(十郎と五郎)がこの地に隠れ住んだという地元伝説からとされています(実際の兄弟の終焉の地とは時代・場所が一致しない伝承です)。
現在確認されている横穴墓は274基で、未知のものまで含めると500基以上になると推定されています。東日本最大級の横穴墓群です。
2024年(令和6年)2月21日には、正式に国指定史跡「十五郎穴横穴群」となりました。出土品(大刀、蕨手刀(わらびとう)、刀子(とうす)、須恵器(すえき)、勾玉、人骨など)も文化財指定を受けています。
蕨手刀(わらびとう)
古墳時代末期(7世紀後半)から平安時代初期(9世紀前半)にかけて、東北地方や北海道を中心とする東日本で使われた日本の鉄製片刃刀です。柄の先端が山菜のワラビの若芽のように丸く渦を巻く形状で、刀身と柄が一体で作られている点が特徴です。
刀子(とうす)
古代から使用されていた小型の万能ナイフ(小刀)のことです。現代のカッターナイフやペーパーナイフのように、日常の雑用や文字を書く際の修正(木簡を削るなど)に広く使われていました。
須恵器(すえき)
古墳時代中期(5世紀初頭)から平安時代(10世紀頃)にかけて日本で作られた、青灰色で硬い陶質土器(炻器)です。
最大の特徴は、一般的な縄文土器・弥生土器・土師器などとは違い、窯(かま)を使って高温で焼くことです。
茨城県ひたちなか市
