「幽霊滝の伝説」がある滝で、「龍王滝」とも呼ばれている。伝説によると、肝試しに賽銭箱を取りに行った「お勝」さんが戻ってくると、背負っていた子供の首がもげていたという話し。
子供を殺されて涙で出来たという「お勝ヶ池」もある。
幽霊滝の伝説
明治の頃、鳥取県の黒坂に小さな麻取り場があり、ある冬の夜の事、女達がいろりを囲んで怪談話に興じていた。
話に興が乗るに連れて肝試しをしようということになり、黒坂の村から離れた山の中にある幽霊滝に行って行った証拠として賽銭箱を持ってくることになった。ところが誰も怖ろしくて誰も名乗り出ようとしない。そこで一人が「賽銭箱を持ってきた者に、今日取れた麻をみんな上げる」と言った。
それを聞いた周りも麻をあげると言い出し、その中で「お勝」という気の強い女が肝試しに名乗り出た。お勝は赤児を半纏にくるんでおぶり、幽霊滝へと向かった。
冬の晴れて凍えるような夜空の下、山道を歩いて幽霊滝までやってくると、真っ暗な中にかすかに賽銭箱が見える。
お勝が賽銭箱に手を伸ばすと「おい、お勝さん!」と咎めるような声が滝つぼの中から響いた。お勝は恐怖に立ちすくみながらも賽銭箱を取ると、またしても「おい、お勝さん!」と、もっと強く咎めるような声が響いた。お勝は後も見ずに走り去り、暗い道を駆けに駆けて麻取り場まで戻った。
賽銭箱を女たちに得意げに見せ、幽霊滝での奇怪な出来事を話した。お勝の勇気をたたえる声がわき上がった。
ほっとしたお勝が赤児に乳をやろうと半纏を解くと、中から血にまみれた赤児の体が転がり出た。赤児の首はもぎ取られていたのだった。
ウィキペディア「幽霊滝の伝説」より
この首をもぎ取った正体は天狗とされている。この伝説により、「2歳にならない赤児を連れて滝に来てはいけない」という禁忌が存在した。
鳥取県日野郡日野町中菅